毎年3月頃になると、新聞やテレビのニュースでも「公示地価」という言葉を聞くことが増えてくるでしょう。
これは、今の土地にどれくらいの価値があるかの目安となるため、不動産の売買をおこなう際はチェックしておきたい指標のひとつです。
そこで今回は、毎年発表される公示地価についてご説明したうえで、評価方法や理由について解説します。
\お気軽にご相談ください!/
弊社へのお問い合わせはこちら毎年3月に発表される公示地価とは
公示地価がどのような意味を表しているかご存じですか。
ここでは公示地価や、基準地価との違いについてご説明します。
公示地価とは
国土交通省がその年の1月1日時点における、全国の標準値の土地価格を毎年3月に公表したもののことです。
一般の土地取引や固定資産税評価・相続税評価の目安として活用されたり、公共用地の取得や金融機関の担保評価、企業が保有している土地の時価評価の基準や指標として活用されたりしています。
また、地価を公表することを「地価公示」と言い、地価公示により公表された価格を「公示地価」と言います。
1969年に施行された「地価公示法」に基づき、1970年から公示地価の発表が開始されました。
全国の不動産鑑定士が評価し、国土交通省土地鑑定委員会が適正な地価を公表します。
なお、建物の価値に左右されないよう土地を更地として、用途を住宅地や商業地、工業地などに分類したうえで評価をおこないます。
基準地価との違い
基準地価とは、各都道府県が選んだ基準値の価格のことを言います。
1974年に定められた「国土利用計画法」に基づいて、都道府県知事が基準値の価格を毎年9月に判定しているのです。
主な違いは、1つ目は、調査主体が「国」か「都道府県」かという点です。
目的は公示地価と同様、適正な土地価格の形成などですが、都市や周辺地域という縛りがないため、公示地価の補完的な指標と言えるでしょう。
2つ目は、公示地価は毎年1月1日時点で評価し3月に発表しているのに対し、基準地価は毎年7月1日時点で評価し9月に発表している点です。
ポイントが同じ場合は、1年に2回鑑定されることもあり、その場合は地価の変化をより早く知ることができます。
3つ目は、調査地点が標準値の1㎡あたりの価格か、基準値の1㎡あたりの価格かということです。
標準値も基準値も言葉は違いますが、意味合いは同じです。
毎年発表される公示地価の評価方法とは
土地を売却する際は、角地や駅近、南向きなどによる特性や、借金返済のために早く売りたいなどというそれぞれの事情から、実際の取引では公示地価より低くなったり高くなったりする場合があります。
公示地価は、あくまでもそれらの理由を取り除いた、自由な取引において通常成立するであろうと考えられた1㎡あたりの正常価格を示したものです。
また、土地のみの価値を評価するために、建物がない更地の状態で価格を算出します。
建物は、広さだけでなく築年数や建築費用もそれぞれ異なり、土地とあわせて計算すると複雑になり比較が難しくなるため、あらかじめ計算には入れません。
これらを理解したうえで、評価方法について解説します。
評価方法
上記でも述べたように、毎年1月1日時点で評価をおこないます。
評価するのは、不動産の鑑定評価の専門家である不動産鑑定士です。
2人の不動産鑑定士によって、現地を別々に調査し、最新の取引事例や土地からの収益の見通しなどを分析したうえで価格を算出します。
また、地域間や地点間のバランスなども考慮し、土地鑑定委員会が公示価格を決定しています。
公示価格は、2つの鑑定結果を平均したものではなく、住宅地や商業地などの周辺状況や面積、形状を考えたうえで、公示地価の対象となりそうな標準的な土地を選んでいるのです。
重要なのは、その地域の基準となる価格の標準値をどこに選ぶかです。
標準地を選ぶ際の留意点を4つご紹介します。
代表性
地域全体の地価水準を代表とすることを代表性(だいひょうせい)と言います。
中庸性
近隣地域での土地の利用状況や環境、面積、形状に偏りがなく調和がとれているものであることを中庸性(ちゅうようせい)と言います。
安定性
近隣地域での安定した土地の利用状況で、かつ利用状況が移行している場合はその変化にも配慮したものであることを安定性(あんていせい)と言います。
確定性
明確にほかの土地と区分され、範囲が特定できるものであることを確定性(かくていせい)と言います。
記載内容
公示地価には、土地の形状や周辺の土地の利用状況、水道・ガス・下水道のインフラ整備状況などが示されています。
この条件に対し土地がいくらになるかという内容です。
土地が公示地点より駅に近くにある場合は高く、道幅が狭い場合は安くなるといったことを比較し、ある程度の価格を判断するために利用します。
しかし、この価格は1月1日時点のものであるということに注意しておきましょう。
毎年発表される地価公示をおこなう理由とは
なぜ、地価公示をおこなうのでしょうか。
ここでは、その理由を解説していきます。
重要な役割
公示地価は、公共事業用地の取得価格算定の基準や、一般の土地取引価格に対する指標として役立ちます。
それだけでなく、土地の相続税評価や固定資産税評価も公示地価を基準に、一定の割合を評価割合として評価されています。
また、不動産の鑑定評価でも基準とすることが必須であるため、投資の価値判断や企業会計などでも重要な役割を果たしているのです。
しかし、具体的にどのような場面で活用できるのでしょうか。
主な活用方法を2つご紹介します。
土地の売買での価格設定
上記でもご紹介しましたが、土地の売買取引で土地の価格を適切に設定するために設けられたものです。
土地を売却する際、ある程度は自分で価格を決めることができますが、ほかの土地と比べ特殊な形状や立地であった場合、もしくは経済状況が大きく変化した場合は自分で適切な価格を算出するのは困難と言えるでしょう。
たとえば、利便性が高いからと相場より高い金額を設定した場合、買い手が付かない可能性もあります。
逆に、利便性が低いからと相場より低い金額を設定してしまうと損することもあるでしょう。
そこで参考になるのが「公示価格」というわけです。
購入する際も、参考にすることで適切な価格かどうかを判断できるようになります。
土地の相場を知る指標にもなるうえ、売買する際の価格設定で活用することで妥当な取引が可能となります。
路線価の目安を算出
路線価は公的な土地の価格を表し、贈与税や相続税、固定資産税などの税金を算出する際に評価額の時価差をなくすために設定された価格のことを言います。
そして、路線価の水準は公示価格を参考に決められているのです。
路線価は主に市街地の宅地に設定されているため、郊外の宅地では路線価がないことも少なくありません。
路線価が設定されていないと、贈与税や相続税、固定資産税の算出に必要となる土地の評価額を出すことができません。
そこで、公示価格の80%が相続税路線価に、70%が固定資産税路線価というように、公示価格を参考にすることで、ある程度の路線価が算出可能となるのです。
まとめ
公示地価とは、国土交通省がその年の1月1日時点で、全国の標準値の土地価格を毎年3月に公表したもののことです。
2人の不動産鑑定士によって現地を別々に調査し、収益の見通しなどを分析したうえで評価し、価格を算出します。
また、公共事業用地の取得価格算定の基準や、一般の土地取引価格に対する指標として役立ちます。
\お気軽にご相談ください!/
弊社へのお問い合わせはこちら