分譲マンションでは、毎月支払う必要がある修繕積立金。
修繕積立金は、マンションによって金額が異なります。
毎月支払う必要があるため、なるべく安いほうが良いと考える方も少なくはないでしょう。
しかし、修繕積立金は安ければ良いというわけではありません。
今回は、マンションの修繕積立金について解説していきます。
また、修繕積立金が値上げされる理由についても触れていきますので、これからマンションを購入される方などは、ぜひ参考にしてください。
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まず最初に、マンションの修繕積立金について具体的にご説明していきます。
また、良く混同されがちな管理費との違いについても見ていきましょう。
修繕積立金とは?
分譲マンションでは、毎月支払う住宅ローンの他にもさまざまな維持費が発生します。
代表的なものに、修繕積立金がありますが、そもそもどのようなお金なのでしょうか。
マンションの修繕積立金は、建物の大規模修繕に備えて、入居者が毎月積み立てていくお金のことです。
賃貸物件の大規模修繕費用はオーナーが負担しますが、分譲マンションでは各区分所有者が負担します。
区分所有者全員で、建物を維持していく必要があるからです。
しかし、マンションの大規模修繕は数千万円と高額になるため、一括で用意することは難しいでしょう。
そのため、修繕積立金として毎月積み立てていくことになります。
修繕積立金と管理費の違い
マンションの維持費として、修繕積立金のほかに管理費があります。
両者は混同されがちですが、どのような違いがあるのでしょうか。
修繕積立金は、大規模修繕など建物を維持するための計画的な修繕費用です。
一方の管理費は、日常的に建物を維持するための費用となります。
それぞれ、どのような用途で使われているのか、具体的に見ていきましょう。
修繕積立金の使用用途
マンションでは、基本的に管理組合が作成した長期修繕計画によって計画的に大規模修繕がおこなわれます。
外壁や屋上防水、配管補修などの大規模修繕がおこなわれるのは、10〜15年周期が目安となり、それに向けて区分所有者全員で積み立てをしていくという流れです。
大規模修繕のほか、以下のような工事にも使用されています。
●機械式駐車場などの部品交換や塗装補修
●エレベーターの全面改修
●排水管清掃
●風水害などの災害による補修
とくに、災害などによる多額の修繕費用が生じる場合は、管理組合の総会決議が必要です。
上記のほかにも、修繕積立金を使用するにふさわしいと判断されたのものに使用される場合もあります。
管理費の使用用途
管理費は日々の管理に使用されるのですが、たとえば以下のようなものがあります。
●エレベーターや共用部分の水道光熱費
●共用部分の消耗品
●エレベーターなどの点検費用
●管理組合の運営費
上記のほか、おもに共用部分の軽微な補修などにも使用されています。
マンションの修繕積立金が値上げされる理由とは?
修繕積立金はマンションを維持していくために必要ですが、値上がりする場合もあります。
ここでは、修繕積立金が値上がりする理由について見ていきましょう。
修繕積立金の微収方法は2種類ある
修繕積立金が値上がりする理由についてご説明する前に、修繕積立金の微収方法には2種類あるという点を押さえておきましょう。
段階増額積立方式
マンションは築年数が経つほどに、さまざまな修繕が必要となり、修繕費用も増大していきます。
段階増額方式は、必要な時点で必要とされる修繕費用を負担するというものです。
将来的に売却することを前提として所有している方にとっては好都合ですが、永住することを前提にしている方にとっては、将来的に負担が大きくなることが懸念されます。
均等積立方式
現段階では、段階増額積立方式が一般的となっているものの、国土交通省が推奨しているのは均等積立方式です。
長期に渡って積立金の変更がないので、将来の資金計画が立てやすいというメリットがあります。
しかし、将来的に売却を予定している方にとって負担額が大きいというデメリットもあり、あまり採用されていないというのが現状です。
とはいえ、将来的に修繕積立金の大幅増額がないため、中古マンションとしての資産価値が高くなるというメリットがあります。
修繕積立金はなぜ値上がりする?
上記のことから、現在では段階増額積立方式での微収が一般的であるため、築年数が経つことに比例して、修繕積立金が値上がりしていくことになります。
しかし、修繕積立金はマンションを維持するために必要な費用です。
修繕積立金が安いと必要な工事をおこなうことができません。
安全に生活していくためには、値上がりすることを理解して、購入する必要があるといえます。
修繕積立金が安いことは魅力的ではありますが、数年後にいきなり値上がりすることや、高額な一時金が発生する場合もありますので、注意が必要です。
また、多くのマンションでは、修繕積立金が国土交通省のガイドラインの目安を下回っているともいわれています。
そのため、適正値との差額分として一時金が発生する可能性が高いのです。
修繕積立金の適正値について
上記でご説明したように、修繕積立金は段階増額積立方式での微収が一般的であるため、値上がりや一時金が発生するということがわかりました。
しかし、国土交通省ではマンション管理の適正化を推進する目的で、「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」が見直され、令和3年9月に改正が発表されました。
改正がおこなわれた背景として、修繕積立金の適正値を満たしていないマンションが多いという現状があります。
修繕積立金はマンションの資産性を維持するために欠かせないものとなり、今回の改正で修繕積立金の重要性が改めて問われているのです。
どのような点が改正されたのか、具体的に見ていきましょう。
計画期間について
マンションの修繕積立金は管理組合の長期修繕計画を基に微収されます。
従来の長期修繕計画では、「中古マンションは25年以上、新築マンションは30年以上」という計画期間となっていました。
しかし今回、「30年以上で大規模修繕工事が2回以上含まれる」と改正されたのです。
外壁塗装や屋上防水などの大規模修繕は、一般的に10〜15年周期となっていて、30年以上の計画であれば、2回おこなわれることになります。
従来の計画期間で、大規模修繕を2回おこなおうとすると、資金不足になることが予想されるでしょう。
また、長期修繕計画は、状況の変化に応じて見直す必要があることも以前から指摘されていて、今回の改正で5年程度という表現が追記されています。
つまり、5年程度で長期修繕計画の見直しが望ましいということです。
省エネ性能について
今回の改正で、マンションの省エネ性能向上の改修工事も考慮するということが追記されました。
築年数の古いマンションは省エネ性能が低いままというケースも多いのです。
屋上の断熱改修はおこなわれてきたものの、外壁の断熱改修工事はまだまだおこなわれていないのが現状となっています。
省エネ性能向上の改修工事をおこなうことによって、光熱費の負担を軽減するとともに、政府が目指す脱炭素社会の実現にもつながっていくのです。
とくに築年数の古いマンションで重要視したい改正といえるでしょう。
エレベーターの点検について
今回の改正で、国土交通省が平成28年2月に策定した「昇降機の適切な維持管理に関する指針」に沿った点検の重要性について改正されています。
エレベーターの適切な維持管理に必要な事項が指針としてあげられていて、法定点検は長期修繕計画を作成する前提条件として重要です。
まとめ
今回は、マンションの修繕積立金について解説しました。
マンションを購入する際、修繕積立金の安さに目がいきがちですが、住んでからの値上がりや一時金が発生する可能性性があることを理解しておいてください。
マンションの購入にあたって、修繕積立金の安さだけではなく、しっかりとした長期計画がおこなわれているかどうかを確認することが重要といえるでしょう。
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