借地権を相続する予定がある場合、売却をお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、借地権が売りにくい理由と売却する際の評価額、実際に売る方法についてご紹介します。
借地権は、種類が異なると売り方も変えたほうが良いこともあるため、ご自身のパターンにあった内容を参考になさってください。
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弊社へのお問い合わせはこちら借地権は売却できる?売りにくい理由を解説
借地権は建物を建設するために土地を借りる権利であり、売却も相続も可能です。
ただし、売りにくい種類もあるので注意しましょう。
借地権には種類がある?
1921年からの旧法による「旧借地権」と、1992年以降の借地借家法による「普通借地権」と「定期借地権」があります。
旧法での契約は、条件などの変更はできず、そのまま自動更新です。
物件の構造の違いにより、存続期間が異なります。
自動更新を重ねたまま、今日も旧法での契約が残っていますが、地主からの提案により契約内容の変更は可能です。
現在の借地借家法の下での契約は、構造の違いによる存続期間に違いはありません。
売りにくい借地権付き物件とは?
定期借地権は期間満了日が決まっているため、残存期間が短くなると売りにくいです。
定期タイプには、一般定期と事業用、建物譲渡特約付があります。
一般は残存期間が50年以上ですが満了時には構造物を解体して返却する契約です。
事業用は、残存期間が10年以上50年未満に設定できますが、設定する残存期間によって、契約の更新や建物の買取などの利用条件が異なります。
建物譲渡特約付は、基本が一般と事業用です。
その契約に満了時に土地の持ち主が構造物を買い取る特約を付け、残存期間は30年以上に設定します。
普通タイプは、定期タイプに該当しない自動更新できる契約です。
一般定期は建物の解体、特約付きは地主による買取が契約満了の条件になっています。
相続しても売りにくい?
借地権は、権利の違いにより、地上権と賃借権があります。
借地借家法に基づく借地権は、持ち主に登記を請求する権利があるため、自由な売却が可能です。
相続により引き継ぐことはできますので、手続き完了後に持ち主に相続を連絡します。
しかし、法定相続人以外の人が遺贈により引き継ぐ場合は、持ち主の許可が不可欠です。
その際、借地借家法に基づく譲渡承諾料も発生し、法定相続人であっても、相続後の増改築には土地の持ち主の許可を得なければなりません。
また、旧法は、「賃借権」がほとんどです。
土地の持ち主が認めなければ賃借権を登記できないため、第三者への転売もできません。
地上権は相続しても扱いにくく、賃借権は売りにくい権利です。
借地権を売却や相続する際の評価額とは?
土地と異なり、相場が存在しない借地権の取引は、評価額の算出方法が決まっています。
評価額の算出式とは?利用方法は?
評価額の計算は、土地の自用地評価額に借地権割合を乗じます。
自用地評価額とは、土地を借りる権利が存在しない条件下での土地の評価額です。
相続税の他、固定資産税の算出で利用することもあります。
算出に使用した借地権割合は国税庁が決定し、路線価図に記載してあるので、誰でも確認できる数値です。
この評価額は借地権に財産として価値があるため、相続税などの評価に欠かせません。
同様に、借地権に関する更新料や名義の書き換え料、条件を変更した際の承諾料などの手数料を算出するときの基準値として利用します。
そのような理由に基づき算出しますが、実際に売却する場面で参考にすることはほとんどありません。
地主が契約内容や手数料などすべてを承諾しなければ、取引が成立しないからです。
実際の売却価格に影響を与えるのは地主の意向であり、評価額ではありません。
評価額の目安は借地権割合がポイント!
土地には、持ち主の権利と借りる人の権利があります。
借地の権利が設定してある土地を「底地」といいます。
底地の価額に対して借りる権利の評価額が高い場合、利用する価値が高い土地です。
同様の理由で、価格の高い土地ほど借地の権利割合も高くなっています。
また、底地の価額も借地権の種類によって異なります。
持ち主が自由に売買できない普通タイプは、自用地評価額に占める借地権評価額が高く、底地の価格は低めです。
一方の定期タイプは、持ち主の裁量によって売買できるので、底地価格は高くなります。
評価額と借地料に相違がある場合は?
通常、借地の契約をおこなう際に、借地料とは別に権利金を支払います。
この権利金が、土地の時価に借地評価額を乗じたものであれば、問題はありません。
しかし、支払っていない場合や、時価との相違があるときは、評価そのものの見直しが必要です。
実際の地代には、固定資産税を利用します。
固定資産税は、毎年、国土交通省が公表する公示地価に基づく公的な評価です。
借り手と貸し手の双方が納得する数値によって評価額を確認し、相続時の評価として利用できるのかを判断します。
借地権を売却する方法をパターン別に解説
実際に借地権を売却するときは、いくつかパターンがあります。
借地権のまま売却する方法は?
そのままの売却は借地料の支払いや増改築に制限があるので、価格を下げてもなかなか売れません。
土地を売る相談を持ち主とおこないますが、価格面で折り合えないなど交渉が困難な場合は、不動産会社など第三者に依頼しましょう。
その際、価格はもちろんですが、承諾料などの条件交渉もあわせて依頼します。
承諾料などは借地人が負担し、購入しやすさをアピールしましょう。
購入希望者と合意すれば、売買契約を締結します。
その後、土地の所有者から譲渡に関する承諾書を受け取り、決済と引き渡しです。
地主が買い取ることはできる?
地主は借地の権利を買い取ると、底地権とあわせて、完全に所有できます。
しかし、地代収入がなくなるため、買取交渉に難色を示すことも少なくありません。
買取に応じる場合は、契約内容などの交渉をおこないますが、当事者ですので承諾に関する手数料は発生しません。
もし、売却を認めないときは、裁判所に申し立てて解決を目指しましょう。
弁護士に依頼するなど、費用も手間もかかり、地主との関係悪化も不可避です。
できるだけ円満に交渉をすすめ、裁判所への申し立てはどうにもならないときだけにします。
底地の買取後の売却は有利?
地主から底地権を買い取ると、借地人が完全保有することになります。
完全保有は、カップアンドソーサーとも呼び、高く売れる条件です。
カップは借地権、ソーサー(受け皿)は底地権に該当します。
地主との交渉は、不動産会社など第三者を通してお互いに冷静に話をすすめましょう。
交渉がまとまれば、単独で契約を目指します。
共同売却する方法とは?
地主と借地人のどちらかが完全保有することなく、それぞれの権利を同時に売る方法です。
購入者は完全保有できるため、売値を高く設定できます。
共同売却の承諾を得ることから始めますが、価格や条件がポイントです。
提示価格はセットになっていますが、実際の取り分を明確にしておきましょう。
売買契約は地主と借地人のそれぞれが購入者と締結します。
当事者ですので承諾料は不要ですが、必ずセットでの契約に持ち込むため、不可分一体の特約をつけましょう。
まとめ
借地権は建物を建設する目的で土地を借りる権利ですが、売却や相続もできます。
なかには売りにくい種類もあり、地主との交渉が欠かせません。
相続する際に使用する評価額を算出するための計算式や売却の方法など、借地権に関する知識を深めましょう。
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